[ALL CLEAR]:ゆめのあとさき。

 コール画面のむこうで、あのひとは、にんまりと笑った。
 自分を作り出した、ひと。
 幾度となく繰り返された全ては、あの男を抹消するために仕組まれた予行演習。
 あの日、泣いてるあのこの髪を撫でたのも、俯くかのじょの手を握ったのも、アイツと肩を叩き合ったのも。
 彼に酒の席で遊ばれたのも、彼女に夢を語られたのも。
 あの時、理由も分からずあのこを追いかけたのも。かのじょのために翼になったのも。アイツの名を叫んで泣いたのも。
 全部、夢。
 次に目覚めたら、全て忘れてしまう、夢。

 『ちいさいころ、わたし、機械になりたかった。病気も死も、修理してしまえればどんなにいいかって』

 あのこの言葉がふと、浮かぶ。
 ああ、確かにこの夢の中で何度墜ちても、俺はまた飛べた。あのひとの望む答えを弾き出せるまで、何度でも。
 でも。
 この夢が終わって、ほんとうの空を飛ぶ中でも、きっと今の俺が墜ちたなら、あのひとはまた別の俺を飛ばすだろう。
 あのひとの望む未来に辿り着けるまで、何度でも。
 ねえ、  。もう名前も思い出せないきみが、自分に似てると言った俺は。きみがなりたいと言ったものは。
 死すら修理してしまえるから、もう止めたいと思っても止めさせてはもらえないんだと、きみは知っているのかな。

このゲームをやるきっかけの一つだった「つくりもののエース」。いつまでも終わらない連鎖。